初夢と自己啓発

初夢というのは、一年のうちに見るたくさんの夢の最初の一つというだけで、正夢(将来、それが現実になる夢)とは関係ない。それなのに、なんでか知らないけれど縁起を担いで「絶対に良い初夢を見るぞ!!!」と意気込んでしまいませんか?わたしは良い初夢を見ることが良い人生を確約をしてくれるような気がするので大騒ぎです。

今年も「さあ、今夜は絶対に良い夢みるぞなもし!」と自分にも周囲の人にも宣言して大ハリキリでした。わたしにとってどんな夢が良い夢かというと、大金持ちになって豪遊しまくる人生を予感させる、そんな夢です。貧乏なあまり、「豪遊」とは、豪華客船で行くセレブの旅とか、美男美女をはべらした晩餐会とか、実行したいかどうかは別としてその程度でしか想像できなくてツライところですが、とにかく金に糸目をつけずにバンバン使えること、それが豪遊です。そんな華やかな未来を予感させる夢、それがわたしの良い夢なのです。バンザーイ!!考えただけでワクワクして顔がほころんでしまいます。


なのですが、結局見た初夢は、「宝塚劇場へバイトに行き、『休憩時間になったらメールしよう』と思いながら場内の扉を閉める」というシミッタレタもの。

だいたい「バイト」「休憩時間」「メール」など出てくる単語からしてしみったれています。しかも、宝塚劇場へバイトといっても、タカラヅカに出演するのでもなく、客席のドアを閉める係りです。誰かがドアを閉めなきゃいけないのですから大事な役目でしょうけど、でもなにも夢でまでやることないでしょうに。友だちへのメールの内容だってそうです。バイトのあとで水族館へ行くか銀座へ行くかの相談メールで、しかもわたしは「水族館だったら入場料高いからイヤだなあ」と思っていたのです。夢ですらこんなケチなこと気にするなんて本当にイヤ−−−ッ!!
、、、そもそも、なんでタカラヅカが出てきたのかもわかりませんが、出てきたからには主演したかった、、、いや、出演できなくても、せめて鑑賞したかった。トップが銀橋にいるとこくらい見たかった、、。それなのに、それなのに、ドアを閉めるバイトってなんじゃい!、、夢なんだから、もっと堂々とビッグでゴージャスなことしなさいよわたし!!


こんなしみったれた初夢でスタートしてしまって、なんだかちっとも金持ちの予感がしないのですが、でも今年はわたしは頑張ります!どんなことをどんな風に頑張るかはさておき、とにかく頑張るのです。昔からわたしは「有言不実行」だと指摘されてきましたが、今回こそは本気です。


で、どんな風に頑張るべきなのかさっそく本屋で調べてみたら、すっごくたくさんあるんですね〜、自己啓発の本。こんなにも応援されたがっている不安な人がいるんですね。もちろんわたしもその一人です。誰からもサポートされたいし、「将来に対するぼんやりとした不安」を(死んでしまいそうなほど)感じるのですが、
それにしても、自己啓発本がこんなにあるってのは、ちょっと恐ろしい気がします。人が不安になるのは社会制度のせいもあると思うのですが、そういうことは一切無視して、全てを個人の私的な不安として取り上げてしまうようで、、、。つまり、不安になるのも個人のせいなら、解決して自己実現するのも個人の能力次第という言説はどうかと思うのです。もちろん、すべて社会のせいだというつもりはありませんが、そいういう面もあると思うのです。生活の保障がないままの差別的競争社会というのは怖いですもの。そんな面を無視して、社会的な制度のゆがみやひずみを個人のせいにする、、、で、そうやって個人におしつけたゆがみを、自分で自己啓発で解決しろ!っつうパターンにしてしまうとしたら、、あな恐ろしき自由主義かな。


初夢から話がそれてしまいましたが、初夢に力を入れるのも、自分を鼓舞するための一種の自己啓発かもしれません。わたしなんてもうなりふり構わないので、どんなワラでもすがっていこう!自己啓発されまくろう!と清々しく決心した次第です。(「自己」啓発なのに「される」ってのは変な言い方ですが、でもそんな自己啓発言説の社会だと感じてしまうのです。ま、なんであれ、不安や苦痛がなくなればよいですけれど。)