高級車自慢
先日知人と「今までに高級車に乗ったことがあるか?」っていう気の毒な自慢合戦をしてしまいました。貧乏人ならではの会話ですよね、、、高級車を持ってる人が「乗ったことある」なんて言うわけもの。一度だけ乗ったことがあって、しかもそれが何年も前のことなのに、いまでも覚えてたりすると、かえってお気の毒感が増したりもする。
で、とにかく、このときわたしが思い出したのがロールスロイス。
ある日、友だちと会うために待ち合わせ場所へ向っていたら、知らない人から声をかけられた。当時こういうナンパってしょっちゅうだったから「はいはい、わかったわかった」とあしらってたら、「じゃ、せめて目的地まで車で送らせて、ボクの車それだから」と指差す先には、じゃーん、そう、ロールスロイス。
「こんな、マンガに出てきそうなナンパってあるのねー!」と感心すると同時に、「これが噂の、というか、噂に聞いたことすらない高級車なのね!」という好奇心もくすぐられてしまった。
果たして乗るべきか否か。
道に落ちてるものを口に入れちゃいけないのと同じように、知らない人についてっちゃいけないんだよね、、。そのまま誘拐されて、監禁され、やがて5年後に白骨死体で発見されるってことになるかもしれない。
、、もしも乗車して死体で発見された日には、「そんなことすればレイプされても仕方ない」とか「そんなの自分の責任だ」「普段からダラシナイことしてた」とか被害者なのに加害者以上に非難され、というか加害者の行為が正当であるかのような非難を受け、下品な雑誌なんかでどんな"被害"にあったのかを詳細に書かれ、一族郎党が「尻軽わいせつ娘を育てた」と世間から謗りを受けてるでしょう。イラクで誘拐され解放された人たちに向けた「自己責任だから賠償しろ!」とか、レイプ文脈での「女はレイプされたくなかったら肌を露出するな!」と同じように、わたしが乗車したことを口実に、今後すべての女性が「親族以外の車に乗ってはいけない」という賠償を払わされるかもしれないのです。、、、ダメ、乗ってはダメ。
とはいえ、こんな真っ昼間に、街の中心で、まさかねー。ちょっとそこまでだったら乗ってもいいんじゃん?という気もする。
、、、いや、いかん!
(5秒ほど心が揺らいだとはいえ、)わたしはキッパリ断った。
「結構です!さようなら!」そんな車ごときで釣られるかってんの!
ロールスロイスナンパ人は、そんなわたしの断りっぷりを見て、今度は
「きっぱりしていてかっこいいねぇ!よし、気に入った、そこまで乗ってきねぇ!」と褒めちぎってきた。
…そんなに褒めてくれるなら「じゃ、そこまで乗っけてくんな!」ってんで、
結局、乗車。(→はい、親子酒です。でもホントにあったことです。)
「これがロールスロイスかぁ!外の人みんな見てるよ〜、どんなもんだい!、、、あー、もう着いちゃうなぁ、まだ早いからこの辺りもう一周しようよ」なんてことをしながら、ちゃっかり楽しんで、待ち合わせ場所に時間通りに到着。
というか、ロールスロイスで到着。
「これわたしの車ですから、わたしいつもこんな感じで乗ってますのよホホホ」というカンジがにじみ出るように、精いっぱい優雅さを装って車を降りた。
それなのに! 友だちはソッポを向いていて全然わたしに気づいてない。ちょっとあんたが気づかずに、誰がわたしのお金持ちマダムっぷりの証人になるっていうのよ!
「しっかりしてよね!いまね、アタシね、あの車に乗って来たんだから」
「へー、なんで?」(→この後、友人にお説教される「しっかりしなきゃいけないのは、あなたよ!」)
というわけで、ホントは車になんて何も興味がないのに、こんなことを考え、こんなことをしてしまうほど、わたしはお金持ちとは縁がないし、「高級」にも縁がないんだなぁ。(、、それはさておき、こんな些細なことも含めて以前は引く手あまただったのに、、いつの間にかそれもなくなり、、、思い出話だけ残り、過去の栄光にすがってる人みたい、、これまたお気の毒だわ、わたし。)
こないだの日本のこともあるし、あとで読んでみる
http://www.villagevoice.com/news/0623,reischel,73391,6.html