[映画]ティーン

カミングアウトの話には、2つの重要な「いつ」がある。

   「いつ気づいたのか」
   「いつ周囲の人に知らせたか」

強固な異性愛主義社会では、「フツーみんな異性愛だよね」ってことになっていて、他の可能性などないも同然とされているから、もしも異性愛が合わなくても「自分は異性愛ではない」と気づくのは簡単じゃない。そのうえ「フツー」の状態の人たちに、それを伝えるのはもっと簡単じゃない。だからこの二つの「いつ」
 ま、ちなみに、「レズビアン」や「ゲイ」というカテゴリーが使われるのは、漠然と「わたしフツーと違う、、」と思うよりも捉えやすいし、存在を可視化できるし、安定するし、とてもとても有効だと思う、、ただし、カテゴリーを使った途端に、そこに掬い切れず、こぼれ落ち、排除される「ナニカ」があることを意識していれば、という条件つきで。それから、そもそもレズビアンとかゲイとかいうカテゴリ自体が、異性愛主義が展開される過程で、それを補完すべく作られているのである。ということも認識しておく必要があるでしょう。以上の点をおさえて、カテゴリーは「使用方法」と「使い勝手」という面で暫定的に評価されるものだとわたしは思いますけどね、、。


中学の頃はわたしは半径2メートルの視野しかなくて、その2メートル内に(罵倒嘲笑以外の言い方で)「ホモ」やや「レズ」という言葉はなかったし、「ストレート」という言葉もなかったし、少なくてもわたしが気づくようなそういう情報もシグナルもなかった。

2メートルの全世界で、ダサい制服に三つ折の靴下はいて、半径2メートルに好きな男子がいて、何がしたかったのか知らないけどとにかくいつもキャッキャッしてました。(、、ここで昔好きだった人を思い出し、10分タマシイが抜ける。)


でもね、もしも、そんなさなかに小鳥が肩にとまって「娘さん、よくお聞き、そうじゃない可能性があるかもよ」なんてさえずんでくれたら、、、恐らくは同性愛だったであろう同級生のあの子やあの子、上級生のあの人たちとか、もっと違って接していたかもしれない。自分でも、「ふーむ」と考えたかもしれない、、「そういえば、、」って、違う十代を過ごしたかもしれない。、、同じだったかもしれないけど、たぶん違ってたと思う。

もしもこんなにも異性愛主義に固まっていなかったら。


基本「いない」ということにされてるマイノリティの場合、「いる!」と知るだけで、どんなに心強いか。子どものころに見たドラマや読んだ本に、殺されたり虐げられたりしない、元気に暮らすゲイやレズビアンが登場していたら、どんなに救/掬われるか。情報って大事なんです。ポジティブな情報が。


と、いうわけで、今日は、そういう視点から、ロールモデルとはいかないまでも、ティーンにおすすめできるティーン映画を選びたいと思う。といっても、わたしはもうティーンじゃないのでテキトーですが。


(注意:ネタバレあり)


わたしが見たティーンモノといえば*1

桜の園 (日本)
少女たちの遺言(韓国)
LOVE/JUICE(日本)  
Go Go チアーズ But I'm a Cheerleader (1999)
恋のミニスカウエポン D.E.B.S. (2004)
Foxfire (1996)
乙女の祈り Heavenly Creatures (1994)
Incredibly True Adventure of Two Girls in Love, The (1995)
Love and Suicide
Loving Annabelle
翼をください Lost and Delirious (加)
制服の処女 Maedchen in Uniform (1931ドイツ) ←ティーンモノって括るのは違和感あるな)
Metrosexuality (2001英)
My Summer Of Love (英)
Show Me Love (1998スウェーデン)
Truth About Jane, The (2000)

こんなもんかな。(特に国名を書いてないのはアメリカだと思います。)


このなかで「ポジティブなイメージ」って、、、殆どないですね。

苦悩ものなら、
翼をください Lost and Delirious  →自殺
乙女の祈り Heavenly Creatures   →殺人鬼化
少女たちの遺言  自殺 →幽霊化
LOVE/JUICE  オブセッション
(My Summer of Love  →ティーンエイジャーであることの苦悩!)
(Loving Annabelle  → 自殺・逮捕(未成年に淫行した咎)、、、ティーンものでいいかな?)
(Love and Suicide →自殺 でも理由が違う。)


レズビアン→不幸への道」という印象につながるので、今日の視点からは問題アリ。 

特別地帯もの(一般社会のなかではなくて、特殊な環境にいる)は
チアーズ But I'm a Cheerleader ホモ更正施設
恋のミニスカ D.E.B.S.  特殊戦闘組織
Metrosexuality ロンドン!
Incredibly True Adventure of Two Girls in Love 学校や地域での交流が殆どないので。


これは「レズビアン=特殊なところにいる/日常にはいない」という印象につながるので、今日のポイントから見れば問題アリ。


となると、残るのは

桜の園 
Show Me Love
Truth About Jane    

       、、これだけ?

「映画として面白いか」は一切問わず、ただただ「特殊環境でなく、不幸でない」という二つの条件だけで、これだけしか残らないとは、、、いやはや!


ま、いいや。以上を踏まえて、わたしのランキング、、、、うえー、難しすぎる!!!


1. 翼をください Lost and Delirious
同室者がいるときのマナー違反や、ひどい台詞の繰り返しや、後半の(というか全体の2/3の)ウンザリするほどくどくて長くて退屈な不幸、、つまりこの映画の殆どの部分はこの際忘れよう!(いいのかこれで、、)
そしてわたしたちが「見た目主義」の社会にいることを思い出して欲しい。レズビアンを貶して排除する一つの言説が、「レズビアンはブス」「男がいないからレズビアン」であった。わたしたちはそういうイメージを植えつけられてきた。(だから、わたしも悩むわけだ、わたしこんなにきれいなのに?ってね!アハハ)しかし、実際そうではない。ブスもいれば、美人もいるのだ。次のトップモデルなわけだし。だから、そういうイメージを無効にするために、この映画を重要だと考えた次第である。(主演のパイパー・ペラーボは、Imagine Me and Youでも大層きれいだし、実はこっちのお伽噺の方がティーンにお勧めではあるが、主人公がティーンではないので。)
、、で、見た目主義とはこの後で戦おう。(ほんとに後で戦えばいいちゅう問題なのかギモンだけど、自分のティーンのころを考えると、見た目のカッコよさに左右された部分あるんのでね。)


2. 恋のミニスカ D.E.B.S.
  だいたい上と同じ理由。映画はいまいちっすよ。


3. 櫻の園
わたしの好みではないのだけれど、こういうおしとやかなのもいいと思う。


4. Truth About Jane
  面白くなかったけれど、「情報」という点ではもっともポイントを押さえている(そもそもこのドラマの目的はセクシュアリティ情報の提供だし。これはPFLAG(同性愛の子をもつ親や家族や友だちの会)がバックについてる。)もちろん日本とはだいぶ事情が違うけれど、でも自分がおかれる状況や方針についてなんらかの骨組みは見えると思う。


5. Incredibly True Adventure of Two Girls in Love
    白人だけじゃないところ。経済的な違いがあるところ。


なんて、難しいんだ! 
しかも、わたし、ゲイやレズビアンというのが「白人が規準になってる」って指摘した舌の乾かぬうちに、もう白人映画ばかり紹介してるじゃんか。……でも、「人種/民族」という項目を入れたら、ゼロになってしまうんですもの、、。


とにかくティーンものは映画よりテレビドラマの方がガゼンいいですね。(Buffy)、South of Nowhere, 少ししか見たことないけどカナダのDegrassi: The Next Generation。 たいへんよろしい。
 

日本の番組は、思いつきません。
ストレートしか出さないストレート標準押し付け番組をダラダラダラダラダラダラやって情報の媒体を占拠してるのは、ほとんど犯罪的だと思う!



で、これだけ考えて言うのもなんですが、わたしがいまティーンだったら見たいだろう映画っていうのは、ティーン映画じゃないですね。もっと大人や老人、すでにリタイアしているような人たちの映画。「人生安心していいんだ、急ぐことはない」と思えるようなやつ。

大人となってからこそ、ティーン映画で幻想を追うのです、、、

*1:といっても、レズビアンの旗印がついてなくても見方によってはレズビアンという映画もあると思うけど、ま、そのへんは深くつっこまずに