独身主義じゃないわ

spongey2005-04-22


<ライス国務長官>結婚観を吐露「独身主義じゃないわ」

 【ワシントン笠原敏彦】「結婚してないのは機会がなかったため。独身主義じゃないわ」。唯一の超大国・米国の外交を仕切るライス国務長官(50)が21日、外遊先のリトアニアで米FOXテレビのインタビューに答え、自らの結婚観を吐露した。その強い意志から「ビロード製のハンマー」の異名を持ち、キャリア面でのサクセスストーリーばかりが注目されがちなライス氏だが、この日は女性としての素顔の一端をのぞかせた。
 ライス氏は国際情勢に関する質問が終わった後、「私生活を話すのは好きではない」と話しながらも、記者の質問に率直に回答。「未婚でいるのは結婚より仕事を優先したからか」との問いに対し、「結婚したことがない人なら、誰かと結婚したいと思うでしょう。私にはその機会がなかっただけ。仕事が忙しすぎたとも思わない」と心情を口にした。
 世間には未婚者への誤解があるとも指摘し、「仕事だけの人生だと書かれることもあるが、私には素晴らしい友人や趣味、多くのやりたいことがあり、人生はとても充実している」と語った。ライス氏は、子供のころからピアノやフィギュアスケートに本格的に取り組み、スポーツ観戦やブランド靴を買い集めるなどの多趣味で知られる。
 ただ、ブッシュ大統領に最も影響力を持つ腕利きの政治家だけに、「結婚して子供がいたら今の権力と地位を得られたと思うか」との意地悪な質問には、「私は宗教心の厚い人間。人生はあるべきように導かれるもので、私はこの人生に感謝している」とかわしてみせた。
毎日新聞) - 4月22日12時20分更新

文句のつけどころ・コメントのしどころが満載である。


1.「この日は女性としての素顔の一端をのぞかせた。」

  資本主義は
  公的領域は男、私的領域は女 と振り分け、
  女を二級市民にする家父長制を維持しながら発展してきた。


公的領域にいる女は、女(私的領域にいるべき)ではあるが、公的である(一応平等)という矛盾した規準に晒される。
だから、ライス長官は、普段は見せない「女性としての素顔」というものを持っているとされており、一方でたとえば、ブッシュ大統領やコイズミ首相は「男性としての素顔」を見せる必要も、その可能性もない。
なぜなら、彼らはそのままで公的な存在(男)だから。


2.「未婚でいるのは結婚より仕事を優先したからか
  「結婚して子供がいたら今の権力と地位を得られたと思うか


保守チャンネルであるから仕方がないのだろうが、相変わらず「結婚」と「仕事」の二項が対立するものとして語られている。この二項対立は公的領域と私的領域(あるいは男女)の分割(女は結婚して家事をする)を強化し、越境を警告するものである。実際には女は家事をするのが当然とされているから家庭のことをしても勘定に入らないままに外での仕事をしている人がたくさんいるのだけれど。特にファンシーでない仕事をしている人たちは本当に大変なのだけれど。
(で、言うまでもなく「私的領域がふさわしい」女には、仕事もないのが現状である。 ちなみに、男女別の賃金格差はどの国にもまだあるのだが、日本は世界で第101位。、、、101も国があったんだ〜。
 生きていくために結婚するしかない、あるいは、離婚できないという状況では
「結婚か仕事」という性差別的質問すら意味をなさないのだが、


それはひとまずおいといて、、、)


ライス長官の返答

私にはその機会がなかっただけ。仕事が忙しすぎたとも思わない

は、この二項対立をさりげなくズラしており(つまり、仕事と結婚は対立すること
ではないと言っており)、FOX言説に変更を促しうるものである。


それなのに、ライス長官のこの機転を「心情」としか捉えてないこの記事はいかにも冴えない。というか、そもそも問題意識がないせいだろうけど。


というわけで、わたしは今日初めてライス長官を好ましく思ってしまった。
(「女性の社会進出」と結婚に関する、この発言においてのみ。)


ちなみに、自分で使っておいてなんだが、
「女性の社会進出」という言い方は、本当に本当に時代遅れで、退屈で、
知的精神的に遅れていると思うのだが、
一方で、いまだにこの言葉を使って意味が通じるところが、
いかに「社会進出」が達成できないかを物語っている気がする。


3.「世間には未婚者への誤解があるとも指摘し、」

この記事からは、どのような具体的な指摘があったのかわからないが、
とりあえず
「未婚者」という言葉を平気で使っているようですが、、、、
 これって、右翼家父長制の性差別用語ではなかったの?
 未-婚ってことは、結婚するということを前提にしているようですが?

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男女は結婚するのが当たり前という前提で行われるインタビューや記事は、

まさにそのような記事やインタビューによって、
その前提をバックアップし強化しているのだが


これによって少なくても結婚の二つの問題を隠している。(共和党のライスは絶対に問題としないはずであるが。)

1.結婚は男女間に限られ、異性愛者以外の人からはその権利が奪われていること。

2.結婚は、国家の制度であり、経済制度であること。


1について
多くの国で現状の婚姻制度では、一部の人たち(一部の異性愛者)しか結婚できない。
「未婚」という言葉は、結婚するはずだという言説を再生産するだけでなく、人によっては
法的に不可能だからという理由があることを隠蔽してしまう。
(ちなみに今日、スペインで同性婚が可決された。 Yahoo!ニュース


2について
 さまざまな社会制度においてなぜ夫婦が単位でなければいけないのでしょう?
 なぜ一人が単位ではいけないのでしょうか?


いったいいつになったら「結婚なんてどうでもいい」ということになるんだろう。


ちなみに、ライス長官を好ましく思ったのは今日が始めてだが、、
以前、ライス長官をホットだと思ってしまったことがある(エヘ)

それは、例の、あの、ヨーロッパ訪問中のブーツ、、、、、、上の写真--(引用記事とは別)