言うに言えない反対意見

わたしは、日々「ああだこうだ」と感想や意見を持つことが多いんですが、たいていの場合、反対意見を口にするのは苦労しますし、言わないことも多いです、と思うたぶん。(自分ではなかなか言えないと思っていても、実際はなにかと口をはさんで意見してて、口うるさいって評判になってる恐れもあるがな。ひえ〜。)


で、なかなか口に出せない理由を考えてみたんだけど
1.全部は知らないから。自分の考えが正しいとは限らないし、そのことがなんであれ意見を言うほど十分知ってるわけではない、と(少しは)自覚しているから。(…「知らないヤツは首を突っ込むな」という考えには賛成しかねるのですが、それでも自分が意見するとなると少し謙虚になってしまいます。)
2.円滑な関係が壊れるのを恐れているから。
3.なんかひっかかるとはいえ、どうひっかかるのか自分でもわからない。「いい/悪い」の二項では処理できない。


こういうことがブレンドされた感じで、うにゃむにゃムニャとしていると思うのです。


でも、日常生活の些細な場面も、選挙のときみたいに、なんらかの選択を迫られているとしたら、[ウニャムニャ]=「棄権」ということになる場合も多いんじゃないかしらん?全くゼロとは言わないが、ウニャムニャとしているだけでは、好転エネルギーの足しにならないのではないかしらと考えもするのです。


こういうときは、どうしたらいいんでしょう?


たとえば、先日こういうことがありました。年に数回会う程度の、仲の良い、とはいえ、親しき仲にも礼儀ありの地元の友人に会ったときのことです。


「おお、久しぶりー!」って感じで現れたこの人、とってもカッコいい毛皮のコートを着ていたのです。


しまった、毛皮っ!!

久しぶりはさておき、その瞬間、わたしの頭のなかは「毛皮→動物虐待→ダメ、ぜったい→でもわたしだって肉食」という葛藤でいっぱいになりました。なにを隠そう、このほんの数日前に毛皮反対のサイトをいろいろ読んで毛皮過程に気持ち悪くなったばかりなのです。


…どうしよう。
わたしは毛皮反対なのに、このままでは、


イ.この友人は、毛皮を着ていることで、毛皮を歓迎していることになる。
ロ.わたしは、毛皮に関して触れないことで、「毛皮を容認している」とこの友人に暗に示してしまう。
ハ.さらにわたしは、毛皮を着ている人と一緒にいることで、「毛皮を容認している」と世間に示してしまう。


、、ということにならないだろうか、、?   


しかし、一方で、
1.毛皮をとやかく言うわたしもお肉を食べないわけではない。
2.→何が良くて悪いかについての自分の線引きを人に押し付けられない。
3.毛皮産業がどうなっているのか詳しく知っているわけではないのに、何が言える?
4.さらに、わたしのこの態度は、「毛皮問題」を「毛皮反対という意思表示ができない自分の物語」として扱ってしまっている。なんてわがままな!


という問題もあります。
しかし、だからといって黙っていては、最初の問題イロハに戻ってしまいます。なんとかならないものだろうか、、、。


「いまこの場で脱ぎ捨てて!それができないなら、絶交よ!」と叫ぶか?でも「毛皮かわたしのどっちかを選んで!」なんて、急に問い詰めるのもどうかと思うし、それに、毛皮を着ている以外には、この人は素晴らしい友だちなので、絶交するなんて考えられません。
「毛皮ってこういうわけで問題なんだよ」と説教するって手もありますが、この状況では「毛皮だなんて恥を知りなさいよ、このボケナス!いまこの場で脱ぎ捨てなさい!」と同じ非難の仕方だと思うし、それに、わたしが知っている程度の毛皮問題は彼女も知っているはず。それくらい承知で毛皮を着ていると思うので、これではやはり喧嘩を売ることになると思うのです。
なんとか、やんわりとこの話題をすることはできないものかしら、、。


やんわりしてるかどうかわからないけど、悩んだ末にこういいました。
「すごいカッコいいコートだけど、毛皮だねー(←ここ、少し声が低くなる)。、、、ペンキかけられなかった?(→まだかけられてないよ〜と友人の答え)じゃ、万一のために、自分でもペンキ持参しといたら?いざというときに、『わたしだって毛皮反対です!』って自分にペンキかけられるじゃない?」


この言い方で、
毛皮って問題になるよとほのめかしつつ、冗談めかしてペンキを持ち出すことで、反対してるのは毛皮反対ペンキ派であって、わたしがあなたの毛皮を非難してるわけじゃない、という責任逃れもしている。つもりなのです。


これでよかったのだろうか、、、とりあえず、何も言わないよりはわたしの身勝手な良心が咎めず、わたしは救われましたが、、、、。なんと難しいことよ。


(もっと難しいのは、人の反対意見を聞くときの態度だよね。泣いてちゃぶ台をひっくり返さないように気をつけないと。)