断る理由

今日ふと思い出したのですが、
あれは、何年も前、まだわたしが「セクシュアリティ」とか「ホモフォビック」とか、そういう言葉も知らなかったときのことです。ましてや、あんなことやあんなことに自分が関わろうだなんて(ウフフ)、、予想もつかなかったころ。
セクシュアリティ」って言葉を知らないということは、言ってみれば、それに関係しそうな一連のことを認識するツールがないってことで、優勢な言説に飲み込まれていたともいえるかもしれません。、、つまり、世の中「へテロセクシュアルがフツー」と思っていたわけで、、というか、そういうことが特別に意識に上ることもなかったのです。


そんな「イノセント」な頃、バイト仲間のおねえちゃんがわたしに相談してきました。(ちなみに、わたしもそのころは十分おねえちゃんでした。)
その内容とは、「最近知り合った女の人から手紙をもらった。「付き合って」とは書いてないが、内容を吟味してみると、どうもラブレターのようである。どうしよう。」というもの。


わたしは「当然」このおねえをストレートと思って(というか、そんなことをわざわざ考えもしないくらいそう思い込んで)接してきたし、、たぶん向こうもわたしをそう思ってたと思う。別れたカレシの話とかしてたしね。
だから、わたしは当然「同性から好かれちゃったよ〜、どうやって断ろう」というのが話のポイントだと予測していた。場合によっては、同性愛差別言説に巻き込まれるかもしれない、、と(「言説」なんて言葉は知らなかったけれど)危ぶんでさえいた。


「もう何通かもらったんだけど、、この人、やっぱレズらしくって、前付き合ってたカノジョとかいるみたいだし。だからきっとわたしにもそのつもりなんだと思う、、、だけどわたし絶対付き合えないよ!だって、、、、、」


いよいよ始まった、ここから「女の人となんてドウノコウノ」って言い出すんでしょ。
と表情を変えずに構えるわたしに向って、彼女は「イノセント」に続ける。


「、、この人、好きな人と毎日一緒にお風呂に入りたいんだってもん、毎日だよ!わたし絶対そんなのできない!!お風呂は一人で入りたいもん。」


ええーっ、それが理由?女だからじゃなくて、お風呂?、、思いつかなかったわ〜!


、、確かに、もしおねえの手紙の相手が男だったら「男だからイヤ」じゃなくて「ここがダメ」とか「もっとこういう人がいい」とか言うのを予測したものね、それをちょっと相手が女になったくらいで大げさに捕らえたりして、わたしったら。、、もしかしたら、このおねえ以上に(当時は言葉を知らなかったけど)「ホモフォビア」を内面化してるかもと(言葉にならないまま)反省したのでした。
そのうえさらに、「ま、たまにだったらいいかもしれないけどね」と続けていたおねえ。今でも逞しく暮らしているだろうなぁ。



ところで、わたしの意識の持ち方が変わった言葉は他に、
「言説」
「内面化」
、、
、、あとなんだろ、、思い出せない、、さして意識が変わってないってことか。
いかんいかん、「理論武装」しなきゃね!