トランス記事の感想

salon.comに、
It's a trans world
という記事があったので、ざっとですが、読んでみました。


この記事はCris Beamという人のインタビューです。

このBeamという人は、 "Transparent: Love, Family, and Living the T with Transgender Teenagers"という本の著者だそうで、

この本は、ロサンゼルスにあるゲイやトランスジェンダーの子どもたちの高校で、beamさんがボランティアをしている間に知り合った4人のtrans-womenの話を中心にした体験談らしいです。(いま、trans-womanの対訳語があるのかチェックしました。どうやら「トランス女性」というのですね。)どこまで、本人たちの声が取り上げられているのかはわかりませんが、Beamさんはトランス女性ではないそうです。
で、この四人に共通しているのは、「家族に見放されて大変な目にあって家出してホームレスに暮らしていたティーンエイジャー」ということ。この4人のことを中心に書かれた本らしいです。


わたしの感想
このインタビューを読んでの印象は、この本もインタビュー自体も「想像できそうな内容だなー」という感じで(わたしがどういうものを想像してるかは、ご想像にお任せしますが)、「どうしてこれが記事になったなんだろう?」と思わなくもありません。すてきなタイトル(its a trans-world)のわりには、、、本の宣伝したかっただけか?と。

しかし同時に、この記事の肩を持つ気にもなりました。
「(貧しいなか)大変な目にあって」「家出して」「お金がなく大変な目にあう」そういうトランスジェンダーティーンたちのことが、こうした取り上げ方であれ(どういう形かはあとで指摘しますが)、話題になる必要がまだまだあると思うからです。というのも、


ジェンダー問題にしろ、セクシュアリティ啓蒙にしろ、声をあげることが大事だとは思うんだけど、声をあげることができるのは、いまだに特権的な立場の人だけではなかろうかし。「特権的」というのは、年齢、立場、職業その他もろもろの面で。だから、そういう特権的な立場にいない人たちの声は聞き取れないことが多いし、注意しないと特権的な立場の目線を「判断の基準」「標準」にしてしまって、経済的な環境の差に気づかなかったり、身体的な能力の差を「別の問題」としてしまったりする。つまり、聞こえてくる声から抽出された概念を中心にしていまうと、自分と同じ特権を持つ人以外を排除して独走してしまうんではないかね?気をつけろよ、わし。


、、というわけなので、この記事は、そういうことにあらためて気づくための記事だったのではなかろうか、と好意的にも考えました。ざっと読んだだけの感想ですけどね。



まずは、この記事と著作の趣旨でもあるのですが、メインストリームでトランスのティーンが話題になることはまだまだ少ないないから。


それから、これはイヤミですが、このBeamが自分はよき理解者で、性別・人種にとらわれずに!、彼女たちの声を代弁できると思い込んでる印象を受けたからです。家出した話をしていながら、社会的経済的格差の問題がいっさい語られてないよ。

ホント、このインタビュー、人種に触れていないのはどういうわけだ?
それに、不思議なことに?社会の男女差別にも触れていない。