トイレの思い出

すでに時効だと思い告白しますが、わたしは昔、酔ってトイレで寝てしまって友だちにパンツを上げさせたり、東京駅のトイレでドアを開けっ放しで入ってしまったり(鍵をかけたつもりが掛かってなかったんです、和式はドアに対して後ろ向きなので最後まで気づかなかった。幸いにも深夜だったので、化粧室どころか周辺にも人っこ一人いませんでした…たぶん)、世界のみなさまスミマセンということをやらかしたのですが(かなり昔の話ですから!)、そのくせ、結構ケッペキ症で、公衆トイレにはよっぽどのことがないと入らないし、外出時に自分が入れるトイレの地図をアタマの中に持っています。そんなわたくしが遭遇した思い出に残るトイレは、、


個室なのに便器が二つ
 個室に入って鍵をかけてから、ふと見ると、同じ形の洋式便器が二つ並んでいるんです。…どういう意図なのか?「選択あるおもてなし」なのか「二人で入ってよし」なのか?、、意味が分かりません。もしも設計ミスだとしたら、完成するまで気づかなかったのでしょうか。「もういいや、このまま作っちまえ」みたいな。(数年前にある町のあるレストランに実在しました。思わず写真を撮ったのですが、行方不明なんです、残念。)


・(むかしから「衛生」概念は近代植民地主義・現代資本主義の手先じゃ!と叫んだうえで)わたしにとって中国は驚くべきトイレの宝庫でした。そのなかで特筆すべきものは、、

「シャワー一体型」
最初に泊まった旅館にありました。(そもそもこの旅館じたい「通」しか泊まれないと思う、、というか、観光客が泊まろうとは思わないと思う。「わたしの旅行、こんなスタートなの?」とちょっとブルーになった旅館でもあります。)

  このように、便器のすぐ上がシャワーです。流すときは上の水道を。シャワーを浴びるときは便器にまたがるように立つのです。
流してもシャワーを浴びてもすべてがビシャビシャになり憂鬱になるタイプ。(後から考えると、本当ならバケツに水を汲んで流すのでしょうが、何故かわたしの部屋にはバケツが設置されてなくて、気づかなかったのです。、、初めての地で、どうすりゃ気づくってのよ。)


万里の長城の公衆トイレ」
   わたしはよっぽどのことがないと公衆トイレに入れないのですが、旅行中はいつ何時「よっぽど」になるかわからないので、入れるときに入るが基本だと思っています。それにしても、ここのトイレは最もつらかった。(略)あまりに遅いので連れが迎えに来てくれましたが、無事に出れてホッとし泣きついてしまいました。オリンピックもあることだし、きっと変わりますね。っていうか、変わらざるをえないと思います、観光産業が押し付ける衛生概念で。それでもいいからマジでお願い変わってくれ。。


・お姫様気分(?)のチベット・ラサのトイレ。
  ポタラ宮殿のトイレ」 
     仕切りなしで4人(か6人?)入れるトイレ、やろうと思えば数人で円陣を組んで入れるトイレだったのですが、運よくわたし一人でした。何がすごいって、このトイレは世界で最も高いところにある公衆トイレであると同時に、水洗ではなく一種のぼっとん便所なんですが、、崖に作られているので、またいだ下が崖なんです。ブニュエルの映画「皆殺しの天使」に、トイレの下が空で鳥が飛んでいるシーンがありますが、鳥が飛ぶほどではないけど、それに近い感じです。一人きりで、こんなに清々と(?)トイレに入れるだなんて!(高山病で死にそうでしたが。)


  ラサ市内の公衆トイレ」
     有料というかチップ式のトイレですが、入ると結構広くて、映画で見るトルコ風呂のような感じの空間でした。「どこにトイレが??」と思ったら、ちょっと段を上がった高い位置に溝がありました。この溝に沿って(溝にまたがって)数人が縦一列に入るタイプ(仕切りなし)なんですね。自分の前後に人がいたら、かなり緊張しそうです。目線に困るし、相手の目線にも困るし。目の前を流れてくわけだし、、。でも、幸運にもこのときもわたし一人だったので、掃除の行き届いた、広々とした、一人にはもったいない空間(?)で、清々と入れました。


・以前の末広亭のトイレ。旧式和式トイレに出会える場所でした。男女共同で、、いや、シャワーカーテンのような仕切りがあった気がしますが、、とにかく「和式」なだけでなく、流すときに「ヒモをひっぱる」タイプなんです。小さいときうちもこの手のトイレだったのですが、平成の東京で、しかも客商売の場所でこれがあるとは思わなかった。(とはいえ、いつの間にか改築されたようです。そういえば、トイレ・チェックしてなかったな。)


・伊豆のどこかのカブトムシ型の公衆トイレ。
  いくら観光地だからって、何故あんなにかわいくないうえに幅をとるデザインにしたのか、、ギモンです。


そういえば、10年くらい前に『憚りながらトイレと文化』という本を読んだのですが、内容は覚えてないけど、すごく面白かった記憶があります。もう一度読んでから旅行行くべきだったなぁ。