失敗したら自己責任で一生罰『Fast Food Nation』

自己責任で思い出したのだけど
『Fast Food Nation』という映画は、アメリカの食肉産業の問題を描いたドキュメンタリー風のドラマです。同名のルポを基にしています。ハンバーガー屋とそこで働く人々の話から、食肉工場のシステムとそこで働く人たちの話へ、そして最後に牛の屠殺にたどり着く、そうやって食肉産業を捉えようという作品。

とうぜん食肉工場の様子が描かれているのですが、工場のなかは、真っ白で、殺菌薬品の匂いがしそうなほど「清潔」、システマティックな流れ作業でホントに「工場」という感じです。
映画のなかでは、この工場で働くのは外国から出稼ぎに来た人たちです。不法労働斡旋業者に連れて行かれる先が食肉工場で、アメリカについたその日から働くことになります。肉を仕分けする作業現場とか腸を取り出す作業現場とか、そういう作業別の現場にいきなり連れて行かれて、そこでやり方のお手本を見ながら作業をするのです。つまり、この工場の作業はぜんぶ働くのが誰であっても入れ替え可能の非熟練作業になっているのです(安い労働でさえあれば。)

で、これらの労働者が、工場で最初に見せられる労働指導ビデオがあるんですが、そのビデオが怖いんですよ。(あ、映画で起こることわりとぜんぶ怖いんですが。)「この工場は安全に十分配慮していますが、気がゆるむと思わぬ事故が起きてしまいます。覚えておいてください、安全はあなたの責任です」という説明が、事故の怖い映像と一緒に流れて「あなたの責任です」が何度も繰り返されるんです。…しかもビデオは英語のみ、出稼ぎ労働者の誰も英語を理解しないのに。(んで、事故に合ってしまう人がいるんですが、工場はとてもハンパな対応してました。)

失敗したら自己責任で死刑!そんな怖さを感じました。労働者や個人についてのこういう自己責任言説は他人事じゃなく怖いです。 (ちなみに、この映画、きまじめ過ぎてイマイチ見るのが疲れます、わたしアホなので、もう少しなんとかして欲しかった。)


話はそれますが、わたしは『悪魔のいけにえ』を反肉食映画だと思ったんですが(非難の矛先が間違えてるとはいえ。あ、でもホントは反食肉映画じゃないので間違えてはいないんですが、)『悪魔の…』ではすくなくてもと殺に「熟練の技」が必要とされていたし、称えられていました。「非熟練の流れ作業工場」と比べると、あの映画もなかなか味わい深いかも。(、、っていうか反肉食がテーマじゃないんだっけ?)



(あー、しかし二日酔いはわたしの責任です。先週から二日酔いの日々でつらかった。やっと立ち直りました。もう飲み過ぎないぞ!って毎回言ってる。。。)