『午後の遺言状』

かもめ食堂』と同じ時期に見たので、並べて書きますが。
この映画ねー、最初の方なんとなくギコチナくて「大丈夫かしら??」と思ってしまうんですが、見てるうちに今度はとってもトンチンカンで「もしやギャグ?」なところが結構あって(逃亡犯との格闘や人気ゼロの海岸沿いの道路にチンドン屋がいたり)「ほんとに大丈夫かしら??」と余計な心配をしてしまうのですが、
そんな心配などどこ吹く風、そらっとぼけて?貫き通していました(何を?)


別荘の雇われ管理人が音羽信子さん、別荘の所有者で泊まりにくる女優が春子先生、そこに認知症になった元女優仲間の朝霧鏡子さんをその夫が連れてくる、という話です。それぞれの関係が「雇用主」と「被雇用者」だとか「自分の友だち」ではなく「妻の友だち」といった風に、立場は違うし「友だち」じゃない、けど付き合いは長く、それこそヨソヨソしさの混じった微妙な関係なんですが、上手に描かれていました。
「あんたわたしに水ばっかり飲ませるのね」というセリフなんて100回聞きたいくらい。(わたしは春子先生が大好きなのでどんなセリフも名セリフに聞こえる可能性があるとはいえ。)


それから、(これを書くと、わたしがよっぽどお金の話が好きみたいでイヤですが、『かもめ食堂』と比べて、まあ例えばの話で。)夫がレシートを保存していたり(領収書の裏に遺書をしたためてある。これは何かを物語ってないかし。)警察の謝礼ってケチねえとか、レストラン代はわたしがお金持ちだから大丈夫とか、そういうディテイルも良かったです。ストーリー上でこうしないでもらいたかったという部分はありますが。