M.バタフライ」の人が亡くなった

http://www.nytimes.com/2009/07/02/world/asia/02shi.html?_r=1&hpw
写真の人すごくきれいじゃない?

わたしは戯曲を読んで映画を見たことあるだけなんだけど、戯曲は忘れ果てたんで、映画で覚えてる内容を言うと(またもやネタバレです)、京劇の役者が自分を女と見せかけて、フランス政府で働く男を誘惑し(というか、フランス男が積極的に女と思い込み積極的に誘惑されて)、政治情報を垂れ流しにさせ、そしてバレて逮捕されるの。フランス男はずーっと付き合って子供まで産んだ(と主張する)相手が、実はスパイで、しかも男だったと知ってビックリドッキリメカが発進して、ずっと自分が相手を守って(支配して)いると思っていたのに、実は自分が踊らされてたわけなんで、「西洋&男」の面目丸つぶれって気がして首を切って死のうとする、という話じゃった。たぶん。

映画はクローネンバーグ監督なんだけど、らしくないというか、特徴がないというか、ぶっちゃけ退屈なんだけど、戯曲もわたしはイマイチなんだけど、でも男・女/西洋・東洋の対立/関係がずーっとどっちつかずで解決しえないところはよかった。その奥に「真実らしきもの」が霞んで見えるようでいて、実は、そういう関係(男女関係とかジェンダーとか)は真実らしきものがあるかのような錯覚を起こすことによって機能している、かのように描かれているところが良かった。
しかし、映画で一番驚いたのは、京劇役者をジョン・ローンがやっていて、出てきた瞬間からオカメみたいでジョンローン丸出しなんだけど、、母は映画のなかのフランス人が「実は男だった」と知るシーンで、一緒になって「えーーーっ!男ーーーー!!!」と驚いたこと。なんであなたまでがフランス人目線なのよー、っていうか、どんだけボンクラなのー。


つうわけで、どうして気づかなかったんじゃ?ということより、「だからって首切るようなことかよ」と思いますが、、首を切るようなことだったんですね


この戯曲にはモデルになった事件があると聞いていたんだけど、そのモデルとなった京劇役者の人が先日亡くなったそうです。70歳。


ニューヨークタイムズから

京劇の歌手で、スパイでもあったShi Pei Pu(時佩璞)さんが火曜にパリで亡くなった。時佩璞氏とフランス大使館員ブルシコ氏との愛人関係が絡んだ事件は、世にも希なスパイ事件として知られ、ブロードウェイで上演された「Mバタフライ」の題材にもなった。


愛人であったベルナール・ブルシコ氏は、現在64歳でフランスの介護施設で暮らしている。彼はこの知らせを聞いても悲しみの表情は見せない


「別に驚きません」そう話すブルシコ氏の声には。時佩璞氏の芝居がかった態度に辟易しているような印象がある。「彼は長いこと患ってましたし。」


悲しくないのかと聞かれると、
「彼にはひどい目に合わされてきました。今さら私が悲しがって、また別のゲームを始めるなんて馬鹿げています。すべては済んだこと。私はもう自由なのです」

   …
時佩璞氏は舞台で注目されることは好きだったが、ブルシコ氏とのロマンス、とくにセクシュアルなことに関して話すことは避けていた。めったにインタビュー受けない時佩璞氏であるが、1988年のインタビューでの発言が残っている。


「私は男も女も魅了してきました。…私が何者でその人たちが何であったかなどは関係ないことです」

ちなみに、

ブルシコ氏に二人の子どもと思わせた当時4才の男の子は、Shi Du Du氏といい、今もパリに住んでいて三人の子供がいる。本人によれば、彼は少数民族ウイグル族出身で、母親によって売られたと言う。「母が私を愛してなかったとか、そういうことではないんです。ただ、私たちは飢えていたんです。」