身につけて表明

(この日のブログを書いたときは知らなかったのですが、白いバンドはテレビなどで盛んにCMをしていたそうですね。テレビCMほど宣伝力があるものを使えるんならバンド売らないで別の提案すればよかったのにね。、、と思うけど、でも、テレビCMがわたしには全然届いてなかったことを考えると、バンドの宣伝力の方がわたしには効果があったと言えるので、自己矛盾ではありますが。11月)


タイトルも監督の名前も忘れてしまったのですが、ずいぶん前に見たゲイ・バッシング/ヘイト・クライムに関するドキュメント映画で、一つだけ覚えている場面があります。
それは壁の落書きで、こう書かれていました。
「ホモを殺すのに賛成の人は、毎日靴を履こう!!!」

これを真面目にとってみると、(というか、冗談だとしてもよくこんなことが書けたものよ、と恐ろしくなりますが、)この落書きを見てしまったが最後、反対なら靴を脱がなければならないし、まわりに靴を履いている人を見ると(ほぼ全員でしょうけど)、こんなにも憎悪を抱いている人がいるんだなあと恐ろしくなります。これがその落書きのメッセージなんでしょうね。誰もおまえを歓迎していないぞという脅し。(でも、ゲイも毎日楽しく靴を履けるという時点でこの脅しは滑稽なものになるかもしれませんが。)


この落書きが逆手にとったように?、何かを身につけて出歩くことで、何らかのステイトメントをするというのは、大きな戦略の一つだと思います。
しるしを身につけて目に見えるようにすることで、意見を表明するだけでなく、賛同する人に対して「仲間がいるよ!」という合図にもなるし。 「レインボー物」を見るとちょっと安心するような、ね。(とはいえ、いま住んでいる土地を見回すと何の意図もないレインボーもたくさんあるので、わたしの目にも意味はなくなってきましたが。)

でも、これって同時にとっても勇気がいることにも思えます。黙っていれば見えないものを、わざわざ見せるということは。だって、それに反対する人に対しても、偏見を持つ人に対しても、自分(の意見)を可視化してしまうのですから。


と、まあ、こんなふうに、身につけるものの力ってすごいと思うんですけれど、、、
リストバンドが流行ってるそうで。ボンヤリ暮らしている私も、白やら黄やらのゴムのバンドしている人を町でたくさん見かけます。それぞれの色のバンドを身につけることで、「意志表示」になるように、っつうものらしいですね。(だから、"オフィシャル"のゴムを買わなくていいらしいですよ。その色のものさえ巻いていれば。宣伝のおかげで、てっきりただの「商品」だと思ってました。)


この白いわっか、わたしの目にも入るくらいだから、ずいぶん宣伝力があると思いますが、
とはいえ、わたし、どういうものかよく知らないせいか、これに関してはどんな共感も覚えないのですよ、、、一体全体どういった意思表示なのかわかんないのです。(公式ホームページに目も通したのですが。)
で考えてみたのですが、、これって、もしかしたら、特別な意志や意見ではなく、「気持ち」表示なんじゃないかと。そんな気がするのですが、、。(わざわざシリコンを買って腕に巻くほどの「気持ち」があっても、他の情報や活動にアクセスできないってのが、なんというかやるせない気がします。「ほっとけない」と思っても、できる行動がこれを買うだけなんてね、、、。)


まあ、とにかく、わたしの関心がものすっごく低いのは、どういう政治・経済活動に関してどのような介入をしようとする活動なのかがさっぱりわからないせいなのです。「貧困をなくそう」って言葉は誰だって言えます、IMFだって世界銀行だって言ってます。このあいだのブレア首相のパフォーマンスだって、一応、貧困撲滅っつてたんだし。ブッシュ政権ですら、貧困をなくそうくらいは言うでしょ。問題なのは、どういうスタンスで「なくそう」としているのか、、「貧困をなくそう」という名目のなかにも、いろんな利害のある人がいろんなやり方で色んな目標でやってるので。 政治家のおっさんだって、どう思ってようとそのバンドつけることができるんだし。そしたらただの免罪符みたいだよね? わたしたちも「貧困」を作り続けているシステムの一部なのに、他人事みたいになっちゃう。
要するに、この白いわっかに関して、実際どうやって貧困と闘うのさ、っていう肝心の問題に触れないってどうなの?と思うんです。


なんつーか、意見表明だとしても、身の危険を感じないようなのは政治的メッセージ性も弱いんじゃないかとわたしは思う。なんらかの、非政治化された、"優しい気持ち"の宣伝にはなるかもしれないけど。(わたしには、「非政治化された」というのは結果的には「現状維持」と同じに思えます、、わたし「偏って」ますので。)


だからホントは、身につけるのがちょっと怖いような恥ずかしいような具体的なメッセージのものこそ、頑張って問題を目に見えるようにして、町行く"同志たち"にも「仲間がいるよ」って伝わるようにする方がいいんじゃないかしらん。わたしも怖いけど。

たとえば、「自由貿易に規制をかける」とか、「外国人労働者の条件改善」とか。「難民受け入れ」。「借款中心の世界銀行IMFに反対」、、「男女共同参画強化促進要求」(しっかし、なんで「男女」って対のモノみたくすんだよ、ね!)とか、、「障害者自立法案反対」。、、どうなんかし、、これだってもまだ大雑把だけど、でもこうやって問題を具体化させて宣伝する方が貧困との戦いにつながるんじゃん?知られてない問題や具体的な対策を広めること、、「仲間感」もあるし。町で見かけたら嬉しくなって微笑みかけそう。


自分の賛成できない意見を表明している人は、にらみつけて、落ち込ませて、体調を崩させて、早死にさせるとか。、、うわっ怖いな、にらみつけられたくない、、、、、


平和憲法支持の人は、この冬に長袖の服を着る!、とか。どうかしら。 改悪したい人は寒いの。