自分に苦情を出す

比較的静かな地区の静かなアパートに住んでいたときのことです。5階建ての5階角部屋に住んでいたので、他の住人の物音は殆ど聞きませんでした、ある日アホが下の階に越してくるまでは。


そのアホは、まあ、たいていは静かだったのですが、ときどき友人と集まってパーティをするのですよ。
夜中の1時から、ベランダで。
最初のうちは、「いくらなんでもそのうち終わるだろう」、、と結局明け方まで我慢していました。が、何度か繰り返すうちに、さすが仏のわたしも「こいつらのパーティはそのうち終わるものはない」ってことがわかった。


そのアパートは不動産屋が所有してる物件で、24時間体制で苦情その他を受け付けていたので、ある日、夜中の3時半に、わたしはアホのパーティに我慢ならなくなって、管理会社に電話してチクることにした。自分で注意するなんて怖すぎるもん。


で、電話することにはしたけれど、わたしの部屋や名前を告げると、管理会社がアホに向って「上の階の住人から苦情が来てる」といって注意するかもしれず、もしもそうなったら、絶対逆恨みされて刺し殺されると思ったので、わたしは匿名の近所の住人だと騙って電話することにした。


わたし「もしもし、××町に住んでる者ですが、おたくの管理してる○○○(アパート名)の人が、12時からベランダでパーティをしていて、とってもうるさいんですけど、注意していただけませんか?」


管理「そうですか。こちらからは今すぐ注意に行かれないのですが、、ちなみに、何号室かわかりますか?」


わたし「う〜ん、、、番号はわからないのですが、、5階の道路側です!」(なにしろ「近所の人」ですから、番号までわかるはずがありません。)


管理「では、明日にでも注意いたします。今夜はすみませんが、もしも問題なようでしたら警察にでも、、、、」


ということで話が終わった。


ただし、「あたし近所の人なのでよくわからないんです」風を装ってチクッた「5階道路側の部屋」といえば、その建物に1部屋しかなく、それはなんと、アホの部屋ではなく、その上の階、わたしの部屋だったのだよ!! 
「近所の人」を装ってるあまり、うっかり自分の部屋を指してしまったのである。チキショーめ!これというのも、人が寝ている夜中に騒いで寝ボケさせてるアホのせいじゃい!


電話を切ってしばらくしてこの過ちに気がついたのだけど、、、管理会社が今夜は何もしないと断言しているのに、今さら、「近所の人」が「5階じゃなくて4階だ!」とかけなおすのもなんだし、、、と、泣く泣く泣き寝入りをした。


次の日、わたしの部屋には、おかげさまで「騒音に関するご注意」が入ってましたよ!!自分から自分に苦情を寄せて、注意されるなんて!!!アホのせいじゃい!! 

(一方、下の階のアホたれは、苦情を寄せられることもなく、平和に暮らしていたのでした。)