911写真をたくさん

部屋を整理していたら、6年前「9.11」の2、3週間後に入手した数冊の雑誌が出てきました。
ニューズウィーク』と『USニュース&ワールド・レポート』 
、、『タイム』がないけれど、たぶん偶然売ってなかっただけ、
    『ニューズウィーク』と同じくらい嫌いなので他意はありません。


そこで、部屋の整理はそっちのけで、
当時「911の物語」っていうか「テロとの戦い物語」がどんなふうに構成されていたのかを、写真で検討してみることにしました。

わたしが思うに、これらの記事には歴史や経済的背景が全くというほど抜け落ちているので、
イメージだけが雄弁で、わかりやすい、ブッシュ的な善悪二項対立になっています。すなわち

アメリカ的なイメージとしては、
「悲しみ」を乗り越え「愛国心」をもち、そして「打ち克つこと」
「イノセント」「思いやり」「協力」。さらにテクノロジーをはじめとした「文明的な秩序」
(色も華やかで明るい)

敵/テロリストの側のイメージは、もちろん
「非情」で「暴力的」、「混沌」として「野蛮」、「非文明的」で「無秩序」
 (暗い、ほこりっぽい)

まず、敵の子供たち
「『無垢』であるべき子ども」が、武器を持ち、暴力の渦中にある、または働かされている。やばいぞこれは!ということを強調


(ついでに、これらの野蛮なイメージを通じて、子どもは「無垢」なのに…という『前提』も強調される。)
ところで、すぐ上の写真の女性のこの格好、ブルカっていうんでしたっけ?、
これもよく「非文明国の証拠」として扱われていましたね。(男性の"ヘッドギア"も。) 


いっぽうでアメリカの子供たちは


無垢だ



こわっ、、いや、無垢だ
写真の説明「コロラド州の未就学児たちは、幼いながらも堂々と愛国心を宣言」




遊んでいる子どもは平和と自由の象徴、でしょ?


(…白人ばっかりですが、いちおう非白人の子どもの写真も1、2枚ありました。)



では、大人たち。

敵の大人(男)は、もちろん、極悪同盟
いつも武器を持っている、そして、あるいは、暴力に囲まれている


うわ、あんたら、ぜったい極悪でしょ


指導者からして武器もってて野蛮だし




Heart of Darkness(、、、)


もちろん、ヒーローたちは、平和、清潔、秩序的
(大統領やらキリスト像とヒーローの協力はわたしがウンザリなので、ここでは二枚だけ)


(他にも、紳士的な会議の様子、整然と並べられた機能的な武器の絵など)


さきほどブルカの女性の写真を載せましたが、この雑誌たちにあまりないだけで、他に野蛮な男にムチ打たれてる女性たち、石打ちの死刑にあっている女性など、敵の[男尊女卑]の野蛮な風習をたくさん報道していましたよね。こういうのはもちろん問題ですが、これらがブルカやヘッドギア?といった装いや慣習の違いに単純に重ねられて、敵国の蛮習イメージとして利用されている一方で、
ヒーロー側の女たちはというと、祈り、慰め、内助の功となる


「The Chief Caretaker:
  あまり人前に出なかったローラ・ブッシュ夫人も、夫と国を慰めるために進み出た」


戦い言説では、(敵側の女も味方側の女も)女はヒーローによって守られるべき存在で、救いを必要としているか、あるいは、手当てや慰めといった補助的/家庭的な仕事をしている。


そういうわけで愛国心」の大盤振る舞い、消費も愛国的活動ゆえ


ペンシルバニアの国旗工場
「注文が10倍以上に増えた。職工は需要に応えることを使命だと考えている」
(スェットショ、、? いや、それはおいても、この映像のブレは職人さんたちの「忙しさ」を表しているのだろうけれど、他の写真と比べると、表情がなく個性や人格が剥ぎ取られてる感じがする。ブッシュ夫人とは違い、ここでは「女性」であることも(もちろん「有色の女性」であることも)話題になっていない。)


こういう報道の雰囲気。

インテリっぽいエコノミストはこんな表紙にしている、、なんとまあ。


「A Heart-rending but necessary war(心が痛むが、しかしやらねばならぬ戦争)」



、、、どんな写真(記事)も「事実をそのまま」なんていうイノセントな写真ではなく、レンズによって「切り取られた断片」であり、何枚も撮られたなかから「選ばれて掲載」されているわけだから、わたしたちの目に触れるときは既に、記者や編集者の視点によって構成された一連の出来事になっていると思う。(わたしがここに載せるのも、他にもたくさんある写真からわたしが選らんだので、、大きすぎてスキャンできないものの他に、わたしの意図に合わなそうなものも排除されています。)


それから、「敵の写真」として括ったなかには、アフガン、レバノンパキスタンリビアイラクが入っています。(これらの違いが見えないというのがポイントだと思う。)

ちなみに、これら敵の話の後には、たいてい、日本の真珠湾攻撃の話が出てきます。


アメリカ国内での有色人については、込み入って難しいので載せませんでしたが(わたしのこういうやり方も大いに問題ではありますが)、
例えば中東系の人たちをとりあげて『愛国心vs民族プライド』という記事で語っていたりします。
アメリカの基本カラーは白っていうことは見てとれると思います。