[映画]殺人モノ

何度も言いますが、レズビアン映画は数が少ないうえに、分類してみると、殺したり殺されたり、所払いになったり、、ツライ映画ばかり。(幸せなレズビアンが出てくるのは、本当に最近になってなんですね、、といっても、まだ片手で数えられるほどですが。)


で、気が滅入りついでに、今日は「陰惨な殺人ものトップ5」にしようと思います。殺されるのではなく殺す側。…「陰惨な殺人トップ5!」ってよく考えると意味がわからないけど、、ま、気が滅入る作品です。


1.『乙女の祈り』(Heavenly Creatures)
破滅に向う話はもちろん憂鬱なんですが、しかし、二人の女の子が、二人だけの想像の世界を作り出し、お互いに入れあげ、とりつかれていく様子が、丁寧にかつ熱っぽく、幻想的な粘土まで駆使して描かれていて、とても上手、、つまり、とてもツライです。さすがピーター・ジャクソン((ゲイ)ボーイズ冒険映画『ロードオブザリング』の監督) ケイト・ウインスレットはきれいなのに、メラニー・リンスキーはごつくない??って思ったけど、見ているうちに、これで良い、ということになりました。それくらい二人とも上手。


2.『モンスター
   わたしはこの映画を、愛だとかそういう感情の話ではなく、知的能力や精神状態を含め個人の能力の違いに注意を払わない、ニセの平等主義/実力主義の社会問題として見ました。二人の関係も依存だと思います。そういうことが上手に描かれていたと思います、、、つまり見ててツラかったし二度と見たくありません。


3. ちょっと趣向を変えて 
  『ルームメイト』(Single White Female)  
 こういうエンターテイメント系の映画こそが実は問題だと思います。(映画ではレズビアンであることすら誤魔化されていますが)このルームメイト、明らかに「ストレート」じゃないよね。そしてこうい人物を「アブナイ殺人鬼サイコ」として描き出してしまうところが、世間一般にイヤーなメッセージ送っちゃってるよな、と。面白かったけど。


4.『MAY』 (分類するとしたらバイセクシュアル?)
  孤独な女の子が、殺人鬼と化すサイコ・スプラッター映画。
  スプラッター映画は全く好みじゃないし、自らすすんで見る事は決してないんですが、なんか知らないけど見てしまったんですね。レズビアン風のは一部です。全然好みじゃないジャンルだし、見ると気持ち悪くなりますが、しかしこの主人公 May は頑張ってます。友だちや恋人がいないからって落ち込んでウジウジして終わるのではなく、努力をしています、、ま、努力の仕方はナンですけど…。登場するレズビアンもよかった気がします、堂々として好ましかった。、、殺されるけど。
 それから、「一人の人にすべてを求めることはできない」と悟るところも感心します(悟ったあとの行動がナンですが。) 上の1、2、3位の映画や、下の5位の映画の登場人物に教えてやりたいスタンスです。(ちなみに、多少コミカルになっているので、スプラッタ嫌いでも立ち直ることができます、、たぶん多少は。記憶違いだったらごめん。)


5. いま思い出した。『Sister My Sister』とか『沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇』がありましたね。なんでこう陰惨なんでしょう!このぶんじゃ閉塞感映画特集もできるなー。あ、『Chinese Botanist's Daughters』も!きれいな映画でしたね、きれいな二人だし。どうしてポーズをとって寝てんのかとか、どうして一人でいるのに胸を隠してお風呂に入ってるのか、と軽く疑問だけど。いろんなことが美化されているから、悲しい結末だけど、ま、それでいいやって気になりました。
           

その他、
『バタフライ・キス』わたしは嫌いでした。気分が悪くなりました。ワイルドで残酷な女と、それに惹かれる優しくて臆病な女。 二人の関係が「健康的」じゃなくない?、健康的な関係じゃないのに、「純愛」かのように描いているところが、もっとも気が滅入るところです。ワルに惹かれるとか、そういうのはいいのですよ。問題は、片方が意見することを許されず、もう片方の言いなりになるしかない、という関係。それって虐待的だし、共依存だと思います。で、そういう風に問題として描いてあるならともかく、これが「純愛」かのように繕われているのがいやでした。こういうのを「純愛」かのように扱うのって、もしや実存しない「美しい関係としてのレズビアン」という幻想に寄りかかってるじゃないのかな。


そういや『氷の微笑』 (さっさとマイケルダグラスを殺さなかったのが悔やまれる映画)や 『Monkey's Mask』(あれ?犯人じゃないっけ?忘れちゃった)は入れてないんです。これってどちらかというと『ハンガー』や『Daughters of Darkness』といった吸血鬼モノに近いと思うんですよね。命取りの誘惑ってやつ。 で、この手の物語は、圧倒的にバイセクシュアルですね。いえい!!…って喜ぶとこではないっけ?、、嘆くところだったかし?(…これについては、いつかまた。)


あ、、そういえば、
エレン・バーキンの『解放区・Mercy』ってどうだっけ?もう殆ど覚えてないんですが、、『ニキータ』の女優がレズビアン/容疑者で、エレンバーキン(刑事)を誘惑するんだけど、、。
  …黒が似合う
ヤバイ事件のときの容疑者というのも『ルームメイト』と似て「レズビアン=いかがわしい・アブナイ」言説ですね。もちろん、こういうのがあっていいんです。わたしはそういうのが好きです。でも、ストレートじゃない映画は数が少ないことを思い出して下さい、「こういうのしかない」としたら、、?
もっとも、わたしが覚えているのは、エレンバーキンがいいところで理不尽にも断ったこと!だけですがね。


「陰惨に殺される映画」も触れるべきではありますが、たくさんあり過ぎそうなので、今回はパスで。