「エスニック」

友だちとわたしには、通りかかる度に気になるレストランがあります。ネパール料理のお店で、値段も高くなく結構美味しいのですが、このお店、いつ入っても空いているのです。だから、通る度に「経営、大丈夫なんだろうか??」と余計なお世話にも気になるのです。

わたしたちがこのお店、仮に「A店」、について「どうなの?」と思うのは、店の佇まいです。お店は雑居ビルの2階にあるんですが、店のベランダからはお弁当屋で見かけるようなノボリが立っていて、しかもそれは「カレーあります」と「おいしいコーヒー」という二つのノボリです。ビルに貼ってある看板も「カレーのお店、こちら→」とあって、しかも店内は、まるで定食屋さん。いまにもしょうが焼き定職や肉じゃがが出てきそうなんです。

実は、このお店の近くに、もう一軒ネパール料理屋があります。このお店、仮に「B店」は、値段が高いのに、いつもお客が入っています。「B店」が「A店」と明らかに違うのは、お店の佇まいです。壁にはなんだかわからないエキゾチックな模様が描かれていて、店内に仏像やら何やらの置物が並び、薄暗いエキゾチックな照明(でも低すぎて食べてると頭にあたる)で照らされています。ネパール土産みたいな小物も売っています。全面的に「ネパールっぽく、エキゾチック」なんです。判官びいきのせいか、わたしたちはエキゾチック売りしてるこの店より、A店に栄えて欲しい。けど、どう見てもB店の方が成功しているし、その理由もわかる気がします。

この辺りにネパール人が多いとは思えないので、ターゲットにすべきお客はおそらく日本人です。ネパールを知らないわたしたち日本人にとって、「カレー屋」に入るときと「ネパール料理屋」に入るときでは、ちょっと心構えが違いますよね。だのに、この「A店」の佇まいは、「カレー」でも呼びかけて来ないし「ネパール」でも呼びかけていない感じがするんです。カレーの店とか言ってなんてノンキなの。
行ったことないからわからないけど、たぶん、ネパールに行ったらA店のようなお店が普通なんじゃないかと思います。でも、この界隈では、A店のこのオーセンティシティは上級者向け過ぎるのです。

直接聞いてないから確かじゃないけど、A店の店員はたぶんネパール出身なんですが、、何度忠告したいと思ったことか。ネパールの人に向って「あんたら、ネパールっぽさが足りないんです!!」と。(あるいは、全然違う理由かもしれないけど)