脳の宇宙との融合

「科学VS宗教」というか「熱烈キリスト教VS無宗教科学者」?…よく知らないし、リチャード・ドーキンスの話をラジオでチラと聞いたくらいなので、「ジュニア向けの解説が出たら読もうかな」と思っていたんですが、


それはさておき、先日TEDに面白い講演があるよ!と聞いたので見てみました。
「宗教VS科学」ではなく、全く違う方向の科学風に宗教じみた話です。

Jill Bolte Taylor: My stroke of insight (英語です)
http://www.ted.com/index.php/talks/view/id/229
この人は「脳」を研究している神経解剖学者(?)で、自分の脳卒中の経験から話をしています。タイトルは掛け言葉になっていて上手に訳せないんですけど「悟りの一撃/脳卒中」かな。全部訳すのは大変なので、すごい大雑把に。


脳みそは、右と左で違う働きをするといいます。彼女はその説に基づきながら、脳卒中で片方の脳がダメになった自分の経験から知ったことをレクチャーしています。この話が、まるで臨死体験を聞いているような、そんな臨死体験「科学」のお話なのです。(感動的)
それではざっと右脳左脳説を


「右脳」は「いま、ここ」をつかさどり、
 視覚、匂い、音、全身をとりまく全てのエネルギーをコラージュのように受けて
 ここでは、わたしたちは世界と融合している(らしい)


「左脳」は、言語。言語を使って、直線的な捉え方をする。
     「過去」と「未来」を認識したり、
  右脳のコラージュから、部分部分を集めとって、分類して、秩序だてて、
   過去の何かとつなげて、未来の何かに投影している。
こうして、左脳は、わたしたちに「私は…」(自分)とわからせる働きを、
他の存在とは切り離された、一個の「自分」として認識させる働きを持っている(らしい)


さて、彼女は、ある日、脳卒中で「左脳」の機能を失ってしまいます。
この経験が、とても興味深いんです。
自分の姿がどんなにヘンに見えたか、どんな恍惚感に包まれたのか、「数字」を認識できなくて、電話のナンバーとメモってある電話番号とを見比べて「同じ形」を探して電話を掛けたり、たまに「右脳」が戻ってきてどう言ったか、などなど、
体験した「違和感」がどんなものか、脳の知識と合わせて、とっても面白く説明してるんです。


そして、彼女はそのときの、左脳のない→言語のない→自己が世界と切り離されていない「陶酔世界」で感じたことを「伝道」しようとしています。これがどういう世界かっていうのは、わたしの大雑把訳では省略しますが、「宇宙との融合」って感じです。「右脳」の世界をもっと選べるように!と彼女は主張しています。



これを聞いていると、「左脳(だけ)がダメになった」というのは本当?別の要因もあるんでは?とか、でも左と右はでもつながってるんでしょう、どこから別の働きになるの?とか、素人のわたしでも疑問を持つ点もあるのですが、しかし
なるほど、そういうこともありなんとも思うのです。
しかし、それを実行しようとして市販の「右脳ドリル」になってしまうとしたら、なんて哀れな左脳なんでしょう。(←彼女はこんなこと言ってませんが。)


ところで、脳の話は↓ とっても面白いです!
http://www.ted.com/index.php/talks/view/id/184
Vilayanur Ramachandran: A journey to the center of your mind