建物との別れ

8時だよ全員集合で、いかりや長介が大家さん、他のメンバーが店子という長屋コントがありました。横長の家屋を縦割りした長屋風アパート、玄関のドアが並んでてそれぞれ志村さんちや高木さんちになってるの。掃除したり家賃の取立てがあったり上からタライが落ちてきたりするコント。

そのドリフの長屋にそっくりな建物が、近所にあったんです。二階建てでドアが5つ並んでる木造の建物

数年前に引越してすぐに見つけて「おおーそっくり!」といたく感動。数年前の時点で、人の気配も新しいアイテムも全くなかったから、かなり長いこと誰も住んでいなかったと思う。だから、前に住んでいたのはどんな人かな。家族かな、学生かな。どんな暮らしだろう、ぴったりくっついたお隣との付き合いは楽しかったかな、ウンザリだったかな、なんていろいろ想像したりして。
でも、こんな住宅地に空き家だなんて、「そのうち取り壊されて新しいアパートとかになるんだろうな」と、ちょっと惜しいような、心配のような、、、でも実際この建物に暮らすとしたら、隣人の音は丸聞こえだろうし、なにかと不便そう。だからわたしは住みたくないけど、でも、このまま残して欲しいなぁ、、ムシが良すぎるけどね、テヘ。と思っていたのです。

それからずーっと、持ち主が誰でどういう事情か知らないけれど、なかなか取り壊されず、人の気配もないまま。わたしは通るたびに、つまりほぼ毎日、「ホントにドリフのあれみたいだなー!」と思い続け(…想像力が逞しすぎて同じ感想しかもてないのであった。)「、、、でもきっと取り壊されちゃうよね。」と勝手に憂えたり、「持ち主は建て替える資金がなくなったのだろうか」なんて余計なお世話な心配したり。
建物とすっかりそういう非/関係を持ちましてね、
つい最近も「心配してたけど、わたしが引越すまではなくならないみたい。よかった。、、それにしても、ホントにドリフのあれにそっくりだよね〜!」としみじみ眺めたところなのです。

そしたらね、なんと、その次の日に、取り壊しが始まってしまいました。

いい味出してたのに、、わたしより先になくなっちゃったか、、。関係ないといえば全然関係ないんだけど、あるといえば少しあるかもしれない非/関係を持っていたわたしとしては、ちょっと寂しいような、
でも誰にも使われず見放されたままでいるのも可哀想だったし。
わたしも同じようにここからいなくなるから同じだね。あとは野となれ山となれじゃわい(野や山になったらちょっと羨ましいけど。)と、さわやか(?)に。ばいちゃ。


そうそう。通じなくていい思いが通じて、次に住むのはこのような趣の建物になりそうです…