「スペル」

「スペル」って映画見ました?


これねー、ホラー映画なんですけど、ホラー映画の定番みたいなシーンを過剰に演出、それの連続ってカンジで結構面白かったですよ。


ストーリーは(以下いきなり全てネタバレ)、銀行に家のローンの相談に行った老婆が、係りの女に断られ、それを恨んで係りの女を呪う。その呪いの執拗なこと! というそれだけなんだけど、(どんな風な呪いの数々かは映画のお楽しみなのでヒミツ。)


1.まず思ったのは、呪う理由というか呪う対象がセコくないか?ってこと。だ
あんだけすごい呪いの力があるのなら、貧乏な老婆から家をぶんどるような社会体制を呪って革命起こせばいいのに、この老婆はただの銀行員のおねえちゃん一人に執拗にとりつくだけなんだもん。どうなのよ、それ?


2.それから、例によって、呪いとか魔術とか使うのは有色人で、無色透明な白人がそれに巻き込まれて、そんでエキゾチックな人の力を借りて(借りるだけで決して混じらない)災いを逃れようとする、という定番かよ。とも思いました。ハオレ:フツウの生活のスタンダード エキゾチック外国人:フツウの生活には存在しないけど、異様な力を持っていてときどき関わってくる(時に助けてくれる)よそ者。


だけどね、結末も含めて考えると、


1.銀行員一人に対して仕返しをするなんてセコイと思ったけど、老婆から家をぶんどるような社会体制を機能させているのは社会の構成員一人ひとりでもあるわけで、その一人ひとりには、体制を変えるような/あるいは維持・強化するようなそういう分岐点にある決断をするときだってあるかもしれない。この銀行員のおねえちゃんはその決断のときに、ぶんどり賛成の決断をしたわけで、それに対して呪うのは、まったくもってグッドポイントじゃないですか。お前ら一人ひとりがお気をつけあそばせ!ってメッセージだもんね。呪いとしてはこっちの方が恐ろしいじゃない。


2.そう思うと、おっかない力を持ってるのがガイジンではあるけど、いつもの映画みたく、その力は利用されて終わりでもなく、ねじ伏せられて終わりでもなく、どっちかというと最後はこっちが制していたってのもいいね。フツーと思ってる現状がいつまでも続くわけじゃありませんので、ナメないで下さいましね。だものね。


わたしはそう見ました。