『憂国』

三島由紀夫自作の映画「憂国」が"発見"され、来年DVDになるとのこと。
この映画は、夫人の希望でフィルムが焼却された「幻の映画」だったらしい。


、、実はわたし、この映画を見たことがあります。

驚きの映画でした。、、というか、これ、、、、


映画の前半は、呪い文字かと思う字体(毛筆?)で、これから起こることの事情が説明される。(映像はナシ、画面にただ文章が映されている。)
なんと、この文字による説明が映画のほぼ半分を占めているのです。


まるで大画面で読む粗筋本。映画という媒体の常識を全く無視した破天荒ぶりです。


そしてその説明のあと、女と男(三島)が出てきてなにやらした後、男(三島)が切腹して終わり。


大真面目に、カメラワークもへったくれもなく、切腹という儀式(に対する思い入れ)をとっているだけなので (もしかしたら考えつくされた映像なのかもしれませんが)、本当に退屈です。
このあたりも映画/カメラという媒体の性質を果敢にも全く無視しています。


何より、三島が出てきた途端に、自意識が具現化されて出てきたのかと思うほどで、
これはもう、、「自意識をとった映画」として見られるべきだと思いました。
このへんも映画の常識を打ち破っています。映画全体がひたすら「オレを見せる」なんですもの。

す・て・き。


「黒蜥蜴」の剥製役の下手さにも驚きましたが、
「人斬り」での侍もなかなかでしたが、
憂国」は、、理解するとかそういうものではないようです。夫人が上映禁止にしたがったのも納得です。わたしだったら地中奥深くに埋めておくでしょう。(でも、もしわたしが三島だったらアルタや渋谷駅前の大画面で上映するでしょう。)


(「からっ風野郎」を見ていないのですが、いま調べたらDVDで手に入るのですね。見たい!増村保造はかなりすごいと思う。)