『レミーのおいしいレストラン』

楽しかった。特に、料理をする場面がとても楽しそうで、、、まるで、昔見たあの感じ、、料理の素晴らしさを感じさせたあの『バベットの晩餐会』の(軽くした)ような印象を持ちました。
それから、大群で動いてるとことか、ネズミの気持ち悪さが楽しく?描けてるのもよかった。
途中で思わず身を乗り出してしまうほど楽しかったです。(主人公がイマイチ魅力的じゃないけどね)


ただし、、(以下、内容ばらしてるかも)


1.
(人間とねずみを併せても)女子はたった一人しか登場しないんだけど、それはいいとしても、その女子と主人公がカップルになる必要ある?
カップルにならない必要もないんだけどさ、、、だったらカップルにするなよー!仲の良い友だち、男女のバディでいいじゃんかし!
他の100億本の映画で見させられてきたように、この映画でもまたまた突然「カップルになって一人前になってめでたしめでたし」的なものを見させられるってストレスなんだって(独身じゃ一人前じゃないんですよ、カップルになってこそ「一人前」なんですぞ。)あらゆる映画でストレートばっかし見させられて辟易してる、ってのもあるけど、それよりなにより「カップル主義」にはホントに辟易ですよ。カップル以外の存在の仕方がないみたいじゃんか。



それから、、あの子が息子である必要ある?
「息子だからレストランの所有権をもってる」という代わりに、「料理の力でのし上がった」にしても全然無理がないと思うんですけど。わたしとしては「世襲制」にはウンザリなので、このへんの安易な運びにはちょっと賛成しかねましたね。
「立派なシェフの息子なのに料理ができない」という設定が、ストーリーのなかで活きていたとも思えないし(ただの「不器用な子」で十分)、、「誰でも料理ができる」というんなら、あの子がどこの馬の骨でもよかったでしょうに



ついでに些細なことなんですが、、、「盗みはいけない!」というお説教が煩かったですね。別にわたし盗みに賛成ってわけじゃないですけど、そのセリフだけ浮いてる気がしたので、そのたびに道徳の授業受けてる気になりました。で、思ったのですが、、、、このお説教を「ネズミにニンゲンの価値観を押し付けて当たり前と思ってる人の発言」という風に解釈してもいいかもしれませんね。
うん、この映画のなかで「ネズミ」は「よそ者(侵入者)」だし、「不気味な集団」だし、「病気もち」だし、「犯罪候補」だし、、これはまるであの人たちみたい、、、「ルールが守れないなら出てけ!というルール」を押し付けるにもってこいの相手、、、そう、移民!!、、、そういえば、表舞台には決して出られず、見えないところで働かされる点も。



というわけで、ケチばかりつけてるようですが、でも楽しかったですよー。
ねずみの大群の気味悪さも楽しく描けていたし!
でも、これを見たからといって特に社会的な変化や価値観の変化といった可能性は感じられず、その点では凡庸、、むしろ保守的かもしれない、、そんな良い子の映画だったと思います。