『ミスターインクレディブル』と『ハウルの動く城』

「The Incredibles」
原題を日本語にすると「インクレディブル一家」となるだろうが
この映画の邦題は「ミスター・インクレディブル」。


映画を見終わった友人とわたしは、
もしかしたら、この邦題、日本の配給会社が気を効かせて皮肉でつけたのではないか?と考えた。

この映画は中庸主義に異議を唱えていると見ることもできようが、わたしたちはこう思った。

この映画の芯は、父を中心に父を主役にした家父長制ファミリーロマンス
と、そのファミリーロマンスに基づいた「白人」「父権」の位置の自信回復物語
(この一家(というか父)の役に立つためだけに、有色人(とその他の家族メンバー)がいる)

ちなみに、悪人は、血筋が違うせいで拒絶された子だよ!!!


(ところで、映画館でこの映画を見ているうちにどんどん気分が悪くなり病気になったのだが、もしやそれってピカチュー現象ではなかったろうか?)



一方でハウルの動く城は、

血縁によらない新しい家族が作られる話ではあるが、


残念なことに、半端に描かれている主役男女の恋愛のせいで
 (いったい、映画のはこびに無理があるのに、 なぜああまでして
  あの二人が恋に落ちる必要などあったのだろうか?
  たとえば、なぜ「友人」ではいけない?)

血縁によらないこの家族も
その核には、男と女というヘテロ・セクシュアルのカップルが据えられる。

もしかしたら、別の家族のあり方を提示できたかもしれない映画なのに、結局は「男女カップルが中心になってこそ完成する家族」という、既存のヘテロ家族の言説に回収されるものになっている。ホントに残念。
そのうえ 男は外で戦い、女は家を守るってのもどうなん?